カラオケが苦手になった高2の秋。
僕はカラオケが好きだった。
中学校の卒業記念で、クラスの皆とカラオケに行ったっけ。
あれはすごく楽しかったな。
そこそこ上手く歌えて、皆に褒められて、なんだか嬉しかった。
高校に入ると、そんな機会はうんと減った。
僕の入学した高校の生徒は、学校以外の時間はほとんど遊ばない人ばかりだった。
もちろん遊んでる人もいたけど、極少数で、僕の苦手な人も居た。
そんなこんなで、カラオケへ行くのも遠退いてしまった。
2年生になった頃だったかな。
しばらくぶりにカラオケに行った。
高校でできた新しい友達と数人で待ち合わせをしたんだ。
フリータイムで意気揚々と部屋に入ったその時……。
僕はどうしようもない罪悪感に見舞われた。
勉強へのプレッシャーがあったのかもしれない。
今時分はこの場に居ても良いのか?
駄目なんじゃないか?
……とにかく心が苦しくなった。
ドンドン苦しくなる僕の心と反比例するように、周りは盛り上がる。
ディスプレイには明るい映像が流れる。
スピーカーからは大きな音のメロディが……。
まるで脅迫されているようだった。
歌わない自分が心苦しかった。
そしてその時から、カラオケに行くのが怖くなった。
あそこへ行くと、また罪悪感がやって来る。
そんな風に感じてしまうんだ。
今ではその罪悪感がカラオケに限らなくなってる。
僕は、「遊ぶ」「楽しむ」という行為を受け止められないんだ。
何故かはわからない。
自己評価の低さが原因かもしれない。
でもとにかく、「こんな自分が楽しんでていいのか?」って思ってしまう。
中学生の頃から10年もかからずに、僕の心はどんどん落ちていった。
まさかこんなふうになるなんてね。
昔の自分は良かった、なんて懐古主義者ではないけど…やっぱり昔の自分が良かった。
なれるなら、なりたいよ……。
とりあえずこのくらい。
今はおしまい。